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肌荒れを招くお風呂の入り方と潤いを保つボディケア文章:門田 麻里(All About「湿疹・皮膚炎ガイド」)


お風呂は、身体の清潔や健康を保つ上で効果が期待できる習慣です。1日のうち、お風呂がいちばんリラックスできるという人も多いことでしょう。ただ、お風呂は入り方によっては皮膚に刺激を与え、肌荒れの原因になることもあります。今回は、健康な皮膚を維持するための入り方のコツや、入浴後に行いたいボディケアについてご紹介します。

リラックスだけじゃない!お風呂の効用と注意点
入浴体が温まり疲れがやわらぐお風呂は、リラックスできる時間 私たち日本人はとてもお風呂好き。高温多湿という気候風土や、水資源が豊富という背景もあって、多くの人が毎日のようにお風呂に入るという習慣が根付いているようです。

お風呂が好きな理由としては、「さっぱりする」「身体が清潔になる」のはもちろん、温かいお湯にゆったりとつかり、1日の疲れが吹き飛んだような気分になることも大きな魅力ではないでしょうか。

実際、お風呂に入ることは、心身の健康面にさまざまなメリットをもたらしてくれます。たとえば、血流が良くなりコリや疲れがやわらぐ、汗をかいて老廃物が排出される、内臓の働きが良くなるといった効果や、プールや海と同じように浮力がはたらき、身体がフワリと浮いて気持ちがリラックスする効果も期待できます。

ただし、メリットばかりとは限りません。お風呂の中では私たちの皮膚は無防備で、さまざまな刺激と触れやすい状況にあります。そのため、入り方によっては思わぬ肌荒れを招くこともあるのです。

お風呂は皮膚のうるおいが失われる?
まず押さえておきたいのが、お湯につかった皮膚は、つかる前より乾燥するという点です。

入浴後に皮膚を触ると「シットリしている」かもしれませんが、これは、入浴中に皮膚表面が水分で覆われ、潤っているように感じるためです。実際には、皮膚の角質層は水分を吸収してふくらみ、細胞のすき間から天然保湿因子やセラミドなどのうるおい成分が流れ出てしまっているのです。

そこでオススメなのが、セラミドやスクワラン、ホホバ油、植物エキス等の保湿成分を配合した入浴剤を使うことです。保湿成分が皮膚に浸透し、失われたうるおい成分を補ってくれるため、乾燥が気になる人には適しているといえます。

ただし、同じ入浴剤でも炭酸ガス系は身体を温める効果が皮膚のかゆみを強めるため、もともと肌荒れのある人には注意が必要です。イオウ成分が配合された入浴剤も、皮膚を乾燥させるため、うるおいが欲しい人は避けた方が良いでしょう。

入浴剤にもさまざまなタイプがあるため、表示を確認した上で、自分の好みに合ったものでうるおい成分を補うといいでしょう。
ゴシゴシ洗いが良くない理由とは?
入浴ゴシゴシ洗いは皮膚のバリア機能を刺激する お風呂に入って身体を洗う行為も、洗い方によっては皮膚に強い刺激となり、皮膚のバリア機能をこわしかねません。角質層を表皮細胞の死んだものと捉え、それを取り除くことで「皮膚が若返る」と期待する人もいますが、角質層はバリア機能を有しているため、ゴシゴシ洗いは皮膚トラブルのもととなります。

日本では1970年代以降、鎖骨や肋骨、背中の上部の皮膚が黒ずんで皮膚科を受診する患者さんが増えました。原因は、ナイロンタオルによるゴシゴシ洗いと考えられ、このとき「摩擦黒皮症」というあらたな病名も誕生しています。

ナイロンは耐久性に優れた素材ですが、一定期間使うと細い横糸が切れ、断面がささくれ立って皮膚に細かいすり傷を生じさせます。これが長期間続くことで、色素沈着を引き起こしてしまうのです。

しかも、ナイロン以外の素材であっても、ゴシゴシ洗いは色素沈着の原因となる恐れがあります。脇の下や股間、足はていねいに、それ以外は軽い洗浄でじゅうぶんです。タオルを使わなくても、洗顔と同じように手で洗うだけで体の汚れを落とすことができます。
しっとり肌へ!入浴後のボディケア
入浴肌荒れさせないためにも入浴後はしっかりボディケア 入浴によって失われるうるおい成分を入浴剤で補うのと同じ考え方で、入浴後のボディケアもオススメです。ポイントは、お風呂から上がったらなるべく早く保湿剤を塗ること。タオルで軽く水分を拭ったら、すぐに乳液や軟膏などの保湿剤を塗りましょう。

寒い時期などおっくうになりがちなときは、洗面所に保湿剤を置く、あるいはお風呂の中に持ち込むなど、手に取りやすい工夫をすると良いでしょう。軟膏タイプは気温が低いと固まって塗りにくいですが、お風呂に持ち込むとちょうど良い具合になります。

一方、すでに肌荒れがある場合は、入浴剤や保湿剤の使用がかえって刺激となる恐れがあります。かゆみがあればぬるめの微温浴(37~39℃)とし、入浴剤や保湿剤はいったん中止しましょう。赤みや湿疹などの症状にはステロイド外用剤を用いて、早めに症状を改善することが大切です(「ステロイド外用剤は家庭の常備薬!」)。

お風呂は毎日の習慣であるだけに、ただ皮膚を清潔に保つだけでなく、絶好のボディケアの場と変えることができます。適切なお風呂の入り方とボディケアの習慣を身に付け、すこやかな皮膚をめざしましょう。

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更新日:2017年03月02日

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